2025年版：薬剤師の転職市場動向とキャリアアップ戦略

2025年の医療業界は、AIやデジタル技術の飛躍的な発展によって大きく変貌を遂げています。

この急速な進化の中で、薬剤師に求められる役割もこれまで以上に幅広く、多様化しています。

かつては薬を調合・提供することが主な役割でしたが、今では患者一人ひとりの治療プランやチーム医療への積極的な参画が必須の時代です。

さまざまなキャリアパスや働き方が認知される一方、変化に十分対応しきれない現場も多く、業務過多、報酬格差、キャリアアップの停滞といった課題も残ります。

こうした環境において、より良い働き方やキャリア形成を目指し転職を選択する薬剤師が年々増加しています。

2025年の薬剤師転職市場の特徴

市場全体の動向

• 求人は都市部を中心に依然活発
• 在宅医療、オンライン薬局・遠隔服薬指導といった新分野での求人が急増
• 地方や過疎地では薬剤師人材不足が深刻化
• 自治体によっては、遠隔支援やハイブリッドワークを導入するケースも拡大

1. 求人は都市部を中心に依然活発

• 全国薬剤師求人件数：52,000件（2025年7月現在）
• 薬剤師有効求人倍率：2.26倍（全職業平均1.20倍を大幅に上回る）
• 東京都のオンライン薬剤師求人：2,618件

都市部への求人集中は明確な数値として現れており、特に東京都では全国のオンライン薬剤師求人の約15%が集中しています。

有効求人倍率も全職業平均の約2倍の水準を維持しており、薬剤師の需要が依然として高いことを示しています。

2. 在宅医療・オンライン薬局・遠隔服薬指導の急増

• 在宅医療患者数：24万人（2023年、2011年比で約118%増加）
• オンライン薬剤師求人：18,017件（全求人の約35%）
• オンライン服薬指導導入薬局：81.0%
• 実際に実施している薬局：7.4%（2023年11月時点）
• オンライン服薬指導実施率：0.099%（2023年3月の0.045%から120%増加）

薬剤師市場の主要指標トレンド（2019-2025年）

上記グラフが示すように、在宅医療患者数は過去12年間で2倍以上に増加し、オンライン服薬指導も急速に普及しています。

導入薬局は8割を超える一方、実際の実施率はまだ低く、今後の成長ポテンシャルが大きいことがわかります。

3. 地方や過疎地での薬剤師人材不足の深刻化

• 全国平均：198.6人（人口10万人あたり）
• 最多（徳島県）：238.6人（+40.0人）
• 最少（沖縄県）：148.3人（-50.3人）
• 平均以下の都道府県：36地域（全47都道府県中76.6%）

地域格差は深刻で、最多の徳島県と最少の沖縄県では90人近い差があります。

特に東北地方や中部地方では全国平均を上回る県がなく、地方での薬剤師不足が顕著です。

病院薬剤師に限ると状況はさらに深刻で、全都道府県で目標値を下回っており、最高の京都府でも94%、最低の青森県では55%しか確保できていません。

4. 自治体による遠隔支援・ハイブリッドワーク導入の拡大

• フルリモート薬剤師求人：456件
• 完全在宅勤務の薬剤師求人：158件
• 薬剤師リモートワーク関連求人：525件

新しい働き方として、フルリモートやハイブリッドワークの求人が着実に増加しています。

特に医薬情報関連業務や人材コンサルタント、データ分析などの分野で、薬剤師資格を活かした完全在宅勤務の機会が生まれています。

2025年薬剤師求人の種類別内訳

まとめ：数値で見る2025年薬剤師市場の特徴

1. 需要の二極化：都市部では競争激化（求人倍率低下）、地方では深刻な人材不足
2. 新分野の急成長：オンライン関連求人が全体の35%を占める規模に拡大
3. 働き方の多様化：リモートワーク求人が500件超と、従来にない選択肢が登場
4. 地域格差の拡大：薬剤師密度で最大90人/10万人の地域差

これらの具体的数値データは、薬剤師転職市場が確実に変化していることを示しており、転職を検討する薬剤師にとって新たな機会と課題の両方を提示しています。

時代とともに変化した求められるスキル・資格

• 患者対応力やコミュニケーションスキルはもちろん、
• AI解析、デジタルツール活用、オンライン診療連携
• デジタル関連資格やITパスポートのようなスキルも高評価
• ファーマコビジランスなど従来の安全管理知識に加え、医薬品データサイエンスや“デジタルヘルスアナリスト”など新しい職能にも注目
• 従来からの抗がん剤調剤、糖尿病教育士などに加え、AI・DX対応力の高さがキャリアアップの鍵

市場・分野ごとの違い

• 高齢化進行と在宅医療の普及で、地域による求人格差がさらに拡大
• オンライン薬局・ヘルステック系スタートアップでも多数の求人が生まれています

成功する薬剤師の転職活動３ステップ（2025年版）

1. 自己分析と今後の業界動向の把握

• 自分の強み、経験、関心領域を明確に
• 将来の「業界変化」や新しい働き方も視野に入れて分析

2. 市場調査と戦略立案

• 地域や業態ごとの求人ニーズ、AIやDX導入度などもリサーチ
• 仕事内容と自分のスキル・希望とのマッチングを重視
• 複数業種・雇用形態を比較検討

3. 書類作成と面接対策

履歴書・職務経歴書

• 医療・薬剤関連資格、経験以外にも
• 【例】「AI電子薬歴導入・運用」「オンライン服薬指導」「データ活用プロジェクト経験」などを明記
• 数字や成果、エピソードで具体的にアピール

面接

• 企業調査も今まで以上に入念に
• AIやDX推進の経験、継続的なスキルアップ姿勢、今後のビジョンなどを自信を持って伝える
• 在宅勤務や研修、リスキリング機会の有無も積極的に質問しよう

2025年・転職活動の新アドバイス

• AIやDX時代に合わせ「新しい学び」に積極的に挑戦することが価値アップに直結
• 一人で悩まず、キャリアコンサルタントや先輩、同僚と相談して客観的な意見も取り入れる
• 在宅医療、遠隔服薬、オンライン薬局など、新しい分野でのチャレンジ精神が未来を切り拓く
• 市場動向や業界ニュースは頻繁にチェックを！

まとめ

2025年の薬剤師転職市場は、スピードと適応力がますます求められる時代です。変化を前向きに捉え、自分の成長可能性や“これから”を描きながらキャリアをデザインしましょう。しっかり準備した人が、希望する環境・条件をつかみ取れる時代です。

みなさんの新しい一歩を、心より応援しています！